第2章 序章
夏海はそれを受け取ると
蔵の中へ入って行った
「調度品、調度品!」
夏海は蔵の中の調度品を探す
毎年、蔵の中の掃除を言いつかる
一昨年は壁を磨かされ
去年は箱の中の調度品を磨かされ
今年は鏡の調度品を磨けと言う
夏海は、毎年お婆様が出しておいてくれる調度品を磨く
今年も同じ様に、畳が敷いてある場所に
厳正なる箱に入っている調度品を見つけた
「これだね!」
夏海は、箱を開け、中の鏡を取り出した
布に大切に包まれた鏡を手にする
鏡と言われても…顔が映る訳じゃない
神器として祭事に使用する品だから
ずっしり重くて、高貴な光を放っていた
夏海は、手にした神器を丁寧に拭く
はぁ~と息を吹き掛け
神器を磨く
神器をピカピカに磨きあげると…
心なしか…姿が映る気がした