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鏡の中から

第6章 伴侶の儀式




夏海と雅龍は、息を潜めて…

辺りを見渡す

耳をすませば…虫の音か聞こえる

川のせせらぎが聞こえる

此処は確かに…襖の向こう側だけど…

次元は別の場所なのだと…

それだけで解る

下手に動けない

「どうするよ?雅龍?」

夏海は長い髪を、ゴムで後ろに束ね

雅龍に問い質した

「先に進むしか方法はなかろうて」

「なら、行くか!」

闘いの火蓋は切って落とされた

夏海の瞳に闘志が燃える

雅龍は久し振りの感覚に…血が滾った


「武器を出さないとね
殺られに行くみたいじゃない!」

夏海はそう言い、念じた

この世界は…思念の世界

念じれば武器が出せると…昔、試練の間に入って忍耐の儀式をした時に言われた

夏海は念じた

我に武器を!

夏海の手には、天下三名槍 御手杵と言う槍が握られていた

「槍…使いか…」

雅龍が呟いた

「神楽は槍しか出さぬ!
何処ぞの始祖も槍使いか?」

夏海は皮肉に嗤った

神楽 茜と全く同じ槍を出すのに…

全く別の人間だった

雅龍は笑って

「ボケボケするでないぞ!」

余分な事を言うから…

「ボケボケせずに進め」と蹴りあげられた

「……うっ…」

雅龍は、蹴り上げられた場所を擦りながら…

「では、行くとしようぞ!
離れるでないぞ!」

と、念を押し

夏海が頷くのを確認すると、歩き出した








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