第5章 修行へ
夏海は母屋に行くと
「失礼ね!今のは雅龍だからね!」と宣言した
雅龍は…申し訳なさそうに
「すまぬ…我が割った」と詫びた
お婆様は楽しげに
「夏海、初夜はどうであった?」と尋ねた
「初夜?そんなん有る訳ないでしょ?」と豪快に笑った
「私は、私を愛さない男に捧げる気はないから!」
お婆様は、ほほう…と感心した
「雅龍が相手では…不足か?」
「神楽 茜 」
え?え?え?え?
家族は…始祖の巫女の名前をあげられ…
何なんだ…それは?と疑問を持った
「神楽 茜がどうした?」
「始祖を想って、他と契って来た不実な奴とは…出来ないって言ってやったわ」
「見たのかえ?」
夏海は答えない
「母さんご飯!」
答えないのが答えだった
「神楽には黄泉の眼はなかろうて?」
雅龍がボヤく
何もかも見透せる黄泉の眼
それは女神から授けられた者にしか持てぬ眼
「確かにな…眼はない」
お婆様が雅龍の相手をしてやる
「なら、見えるのは無理であろう」
「夏海は始祖 神楽 茜を越える
覇道を詠む力は…真贋直伝
真贋が…伴侶を得てなくば…夏海を差し出したかった位だわ」
「覇道を…?」
「そうじゃ!星詠みも出来るぞい」
「神楽は何時から占星術まで取り入れた?」
「取り入れてはおらぬ」
「え?」
「夏海の持っての気質!
覇道を使えば…お主など容易く…消せる」
嘘…
戯れ言だと想っていた
雅龍は…言葉をなくした