第15章 またね
「出逢わなかったら良かった!
なんて想わないでね!
そんな事想われたら…
総てを否定されて…
可哀想じゃない!私が!」
「夏海…我は…夏海から多くのモノを奪った…」
「奪ったと想うなら、与えてよ!
雅龍の愛で不安なんて感じない位!
与えてよ!雅龍の愛で私を満たしてよ」
「夏海…愛してる…」
「私も愛してるわよ」
少しずつ…紫雲のかけた術が…
解けて行く
少しずつ…
夏海の死期が近付いて来る
「短くも我が人生に一片の悔いは遺さず!」
「え?」
雅龍が問い掛ける
「私は親不孝をした自覚はあるけどね
後悔なんて遺してしないからね!」
だから、その台詞が似合うでしょ?
夏海は笑った
弱って行く夏海は…
気丈に変わらない
雅龍は夏海の唇に…キスを落とした
「未来永劫、我の愛は夏海に誓う」
「当たり前じゃない!
雅龍の妻は未来永劫、私しかいないのよ!」
夏海らしい台詞に…
雅龍は堪えきれず泣いた