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鏡の中から

第15章 またね




晴れやかな、清々しい空が広がる

カラッと晴れ渡る空は、何処までも青く

二人を祝福している…様だった

教会のベルが鳴り響く

チャペルでは讃美歌の歌が響き渡り

雅龍は神父の前に立っていた

漆黒のタキシードを着て

夏海を待つ

本来…タキシードは純白が多い

雅龍の金髪が生える様に…と、夏海は黒のタキシードを選んだのだ

黒のタキシードに雅龍の金色の髪が映え渡る

夏海は父の手を取り、真っ赤な絨毯の上

バージンロードを歩いた


礼二の目の前に

純白のドレスを着た夏海が立っていた

レースをふんだんにあしらったドレスは

香住が我が子の為に、作ったものだ

香住の…母の想いを一心に込めたウェディングドレスだった

夏海の遺された時間が…残り僅かと聞いた時に…

香住が作り始め、夏海も手伝ったドレスだった

夏海も想いを込める

何時か…

我が子が…花嫁を貰う時

このウェディングドレスを着て式を挙げて欲しい。

願いを込めた

何時か…

その時を見られないのは…

辛い

だからこそ、想いを込めて、一針一針縫った

そして出来上がったのが…

夏海を着ているドレスだった

ウェディングベールは、康太から届いた

蚕から紡いだ絹の糸で織り成した…レースはキラキラと光輝き…

とても美しかった


康太はこの日を詠み…特注で織り上げし逸品だった

夏海はそんな想いのこもった

ウェディングドレスに身を包み

誰よりも艶やかに

笑っていた



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