第15章 またね
家に帰り、寝込んでいて出来なかった事をする
春海に頼んで、凰星との写真を撮ってもらた
雅龍と3人の写真を、沢山…沢山…遺してもらった
病気で…痩せ細ってからの写真は…
一切遺したくないの…と、写るのを拒否して来た夏海が、我が子との写真を遺す
春海は…そんな3人の写真を撮り続けた
涙で…ピントが合わなくなる自分を叱咤しながら…
シャッターを切り続けた
急に元気になって帰ってきた妹に…
別れの時間を感じていた…
この時間は…永遠にある訳ではない…
それを感じるから…
どんなに辛くても…
遺してやりたくて…
春海は…写真を撮り続けた
凰星の誕生日も近かったから…
前倒しにして、やった
凰星に飛鳥井の菩提寺で造った…鏡をプレゼントした
凰星はそれを受け取り…ニコッと笑った
煌星には、紫雲を通じて渡してもらう様に頼んだ
神楽の家は…久々に…笑い声で満ちていた
礼二もカメラを持ち出し
笑いの耐えない…家族を撮った
久し振りの…事だった
「夏海、凰星と雅龍と並んで」
礼二は3人をカメラに納めた
礼二の目の前には…
仲の良い…
親子が写っていた
「おめでとう凰星」
香住は凰星に大きな縫いぐるみをプレゼントした
母を亡くす…我が孫に…
父を亡くす…愛しき子が…
寂しさを紛らわす為に…
抱き締められる縫いぐるみを…用意した