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鏡の中から

第15章 またね




「今日を入れて2日
明日、明後日の夜には…」

紫雲は…その続きが言えなかった

なのに夏海は、紫雲に深々と頭を下げた

「ありがとうございます
今日を入れて2日あれば、色々出来ます」

2日だけで良い

2日あれば上等

夏海はそう言い笑った

「では、時間が惜しいので、これで失礼します」

夏海は元気にそう言うと

雅龍を引っ張って帰路に着いた

紫雲と桃香は…

そんな二人を見送る…

桃香は…「夏海の時間は…」

そう言い…着物の袖で顔を覆った

紫雲は「言うでない!夏海は悔いなど遺しておらぬ…」

夏海を見送り…頬を涙で濡らしていた

元気な…何者にもめげない夏海を預かった

康太は紫雲に言った

「お前は夏海を見届けるが定め
夏海の一生は…龍騎、お前が見届けてやれ」

そう言った

まさか…こんな風に…

夏海に関わろうとは…

思ってはいなかった

そして何より…

こんな短くして…

夏海がこの世を去るなどと…

予測が出来た?

そんな予測が出来るのは…飛鳥井康太…唯一人しかおらぬ



夏海は雅龍に支えられなくても元気に歩いた

飛鳥井の菩提寺の本堂には、香住が凰星と共にいた

元気に歩いてくる夏海の姿に、香住は驚愕の瞳を向けた

「母さん帰ろ!
遣る事が沢山あるのよ!
時間が惜しいから早く帰ろ!」

夏海は母を急かし、凰星を抱き上げた

体力のなくなった夏海が出来なかった…事だ

「凰星…」

凰星を抱き上げ、頬にキスを落とす

愛しき子は…

夏海の腕に抱かれ…笑っていた


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