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鏡の中から

第15章 またね




紫雲は夏海を見る

夏海の命は…尽きようとしていた

紫雲は夏海に

「最後の願い、叶えてしんぜよう」

と、言葉を送った

夏海は…とても嬉しそうに笑うと

「少しだけ…元気が欲しいです」

と、答えた

「何日?」

「2日…それだけで…良いです」

「なら2日…何があっても倒れぬ元気を…
お主に送ろう…桃香、夏海に…お前の気を…」

紫雲が呼ぶと…紫雲龍騎の妻

飛鳥井の菩提寺の姫巫女が、何処からともなく現れた

白拍子の衣装に…キラキラと輝く…金線を施し…まるで平安の世の姫みたいな姿だった

桃香は夏海の体に手を掛けた

そして優しく…抱き締めると

紫雲も夏海に向けて…

術を放った


頬は、生気が艶めき

唇は、ピンクをして

出逢った頃の夏海に姿を変える

雅龍は…そんな夏海を目にして

視界が歪んだ

夏海から…

多くのものを奪った

多くのものを犠牲にさせ…

それでも共に在りたいと願った

夏海…

夏海…

雅龍は張り裂けそうな胸を押さえた



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