第15章 またね
「出来た…」
夏海は雅龍を見た
雅龍は夏海を見た
二人で力を合わせて
作った鏡だ
それが一ヶ月と言う月日を掛けて完成した
紫雲龍騎は完成した鏡を目にして
微笑んだ
夏海の願いが…
今 カタチを成した
「誠…見事な鏡の出来上がりだ」
鏡を手にして
紫雲は呟いた
鏡に想いを写し鏡を作る
思いが強ければ強い程
強靭な錬金術が発動されて
想いを織り成し…一条の光となる
夏海は…力を使いすぎて嘔吐した日もある
気絶して何日も目を醒まさぬ日もあった
それでも夏海は、何かに取り付かれた様に
日々…飛鳥井の菩提寺に通い
鏡を作った
我が子に遺す…
最後のプレゼントなのだから…
その思いだけで
自分を奮い立たせて
夏海は頑張った