第12章 母になる
こんなに愛しい我が子を手離して行かねばならぬ…
我が子…雅龍と夏海を想えば泣けてくる
白龍は…涙を堪え…
嬰児に…口づけた
「元気にすくすく育ちなさい…」
祖母の…願いだった
黄龍も孫を手にして…
頬に口づけを落とした
「誰よりも愛され…生きるのじゃ…」
幸せを誰よりも願おう
二人の嬰児の幸せを誰よりも…
願って止まない
雅龍は…
別れが決まっている我が子を抱き締めてもらい…
嬉しさで胸が一杯になった
看護婦は赤ちゃんを引き取ると
病室の方へ案内した
「暫くお待ちください
お母さんが戻って参りますからね」
そう言い看護婦は病室を後にした
暫くすると夏海が病室に戻ってきた
雅龍を目にするとVサインを出し
笑った
双子の出産で…
明らかに夏海は疲れていた
なのに雅龍に精一杯の笑顔で堪えた
「夏海…大丈夫であったか?」
辛くはないか?
痛くはないか?
雅龍が心配して聞く
夏海は、病室に知らない人を見かけ
雅龍を見た
瞳が…誰?と問う
雅龍は…夏海に「両親だ」と告げた
「雅龍の?ご両親?」
夏海は突然の事で…
頭が着いて行かず…聞き直す
「そうだ。我の父と母だ」
「えええ!ご両親ですか?
雅龍の妻の夏海です!宜しくお願いします」
夏海が挨拶すると
雅龍は父親と母親を夏海の前へと招き
紹介した
「雅龍の父の黄龍です」
「雅龍の母の白龍です」
二人は夏海に挨拶すると、そっと夏海を抱き締めた