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鏡の中から

第12章 母になる




「ねぇ雅龍、大掃除が終わったら行きたい場所があるのよ」

連れてって…と夏海は頼む

「何処へでも連れて行くから、暫く待っておれ」

雅龍は夏海をソファーに座らせた

そして、夏海のお腹を愛しげに擦りながら

もこもこ動く我が子の存在を確かめ

「今日も元気だな」と楽しげに夏海に言った

夏海は雅龍の手に自分の手を重ね

「ポコポコ蹴りあげて元気元気」と答えた

雅龍は夏海に軽くキスを落として、大掃除へ向かった

夏海は雅龍の姿を見送り、目を瞑った

流石に…この大きさになると…

日々しんどい

でも愛しい…愛する子の存在を直に感じれて

幸せを噛み締める

夏海は…天を仰いで…

「真贋…貴方に頼むべき事があります…」

と、気を飛ばした


夏海は妊娠5ヶ月位まで学校に通っていた

卒業と言う事もあって、卒業アルバムとかは…残しておきたくて頑張った

その頃は…まだそんなに腹も目立たず

何とか通えた

だけど、5ヶ月を越えた頃から

どんどんお腹の子は成長して行き

学校には通えなくなった…

単位は取れてる為、卒業は出来る

大学に進学する訳でもないし

就職する訳でもないので

両親が学校側と話し合って、卒業は出来る様に話が着いていた

唯…卒業式に出られるかは…

解らなかった

出産予定は3月中頃だったから…

友達が大学受験や就職試験に躍起になっている時間を…

夏海は残り少ない時間を過ごす

せめて…

卒業式だけは…

出たかったな…

夏海は口にしないけど…

想っていた



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