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《イケメン戦国》時を越えて

第12章 時を越えて〜舞の秘密〜


すりおろしたりんごを完食した後、
「にがーい!!」
と文句を言いながら薬湯を飲んだ舞は、再び眠ってしまった。

「熱がまだ下がってないから油断できない。俺は薬の準備をして来るから、あんたが舞を見てて。」
そう謙信に言って家康は部屋を出て行く。
「春日山で指折りの薬師にも勝るとは大したものだ。治療の邪魔をしようとして悪かった。お前が来てくれて良かった。ありがとう。」
と謙信がその後ろ姿に声をかけたが、家康は振り返らなかった。

半刻ほど経った頃、遅れて到着した信長と信玄と三成が顔を出す。
「お前が帰ったから、続きはここですることになったよ。」
と信玄が呆れたように言うと、謙信は
「そうか。」
一言だけ返した。
そこに、家康、義元、佐助が戻って来た。
家康が
「舞の様子は?」
と尋ねたその時ーーー

「んっ、光秀さん……1人にしないで…」

舞がうわ言を言った。

「ーーーっ!」
驚く面々。

「光秀さん?なんで?」
家康が呟くと
「舞は光秀殿を選んだのかな?明智の懐刀を渡すくらいだから、光秀殿も遊びじゃないだろうしね。」
と一人だけ驚いた様子もない義元が言う。
それを聞いて
「懐刀だと?」
信長が訝し気に問うと
「織田、上杉、徳川そして明智の懐刀を舞は持ってるよ。」
と涼しい顔で答えた。
「はっ?」
「舞本人はお守り代わりに預かってるだけだと思ってるけどね。」
「………」
その事実に驚くやら呆れるやらの武将たち。

そんな中
「舞が誰を選んだかはさておき、光秀が懐刀を女子に渡すなどありえん。」
と信長が言えば、
「そうですね。光秀様に限ってはそれはないように思います。」
三成も賛同する。
「なぜですか?」
不思議に思った佐助が尋ねれば
「彼奴が織田軍で担う職務のせいだ。」
「職務のせいですか?」
「ああ、彼奴は織田軍の闇の部分を主に担って動いている。騙し、裏切り、恨み…。それらを負っている光秀は、恨まれたり狙われたりが常だ。そんな男がわざわざ大事な女を作ると思うか?光秀のつがいだと知れれば、女にも危険が及ぶ。光秀は好いた女を危険に晒すような真似をする男ではない。」
「…ではなぜ懐刀を?」
「それが解せぬ。」
「その懐刀が偽物って可能性は?」
家康が言うが
「いや、あれは確かに明智の家紋だったし、造りからして本物で間違いないよ。」
義元が否定する。
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