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《イケメン戦国》時を越えて

第12章 時を越えて〜舞の秘密〜


「うーん。その懐刀があれば確認できるんだろうけどなあ…。」
と言う信玄に
「ああ、それなら、そこの文机の上の袋の中だよ。一緒に反物屋で買った生地だから間違いない。」
あっさりと言う義元。

それを聞いた謙信が袋を手に取って中身を検めようとする。
「ちょっ、勝手にはダメでしょ。」
家康が止めるが
「確認しないことには話が進まん。」
と言って袋を開けた。
そこには確かに4本の懐刀。
それらを文机の上に並べる。

「…確かに明智の懐刀だな。」
信長が言うと
「そうですね。間違いありません。」
三成も認める。微妙な空気に包まれる室内。そんな中、佐助がポツリと言う。
「なぜ、明智の懐刀だけ、こんなに古びているんでしょう?」
そう言われ、良く見てみれば確かに他のものに比べて明らかに古ぼけている。
「確かに妙だな。家名は上杉や織田の方が古くからあるから、明智のが上杉や織田より古ぼけているはずはない。傷んでるわけでもなく、これはただ単に年数が経ったものと言う感じだ。何十年、何百年と経ったような…。」

「ーーーっ!」
信玄のその言葉にハッとする佐助。
「まさか…」
そう言うと、佐助は文机の横にある封筒に気付き手に取った。
「これは…そんな、まさか。」
一人青褪めた顔をしてブツブツ言う佐助を皆、訝し気に見る。そして
「舞さん、ごめん。」
と言って佐助は封筒の中身を取り出した。
中身は書類。500年後の文字で書かれたものだった。当然、佐助以外は読めない。それを一心不乱に読む佐助。その危機迫る姿に他の者は黙って見ているしかない。

やがて、書類を見終わった佐助が口を開く。
「舞さんは光秀さんに恋慕の情を抱いてなどいません。」
「どういうことだ?」
意味が分からず、謙信が問い返すが
「すみません。理由は言えない。舞さんに断りなく、ここに書かれていることをお話することはできません。」
ときっぱり言う。
「言わぬと貴様を斬ると言ってもか?」
信長が念押しするも
「はい。俺の命よりも舞さんを守ることの方が大事です。これを見て、舞さんは体調を崩したのだと思います。そのくらい、ここに書かれていることは彼女にとっては重いものです。知った俺も苦しい。見なければ良かった。」
そう言って項垂れる佐助。

「……」
誰も何も言えなかった。
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