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《イケメン戦国》時を越えて

第20章 時を越えて〜分岐〜秀吉ver. ※R18あり


ーーー数日後。
家族との再会を終え、安土へ戻った秀吉と舞は新生活へ向けての準備に追われていた。
秀吉が戻って早々に信長が
「貴様に長濱城を与える。」
と命を下し、それを甘受した秀吉は居を安土から長濱へと移すこととなったのだった。居を移すと言っても、安土と長濱は馬で駆けて半日も掛からない距離。秀吉は今後、安土と長濱を行ったり来たりする生活を送ることとなる。長濱城は坂本城ともさほど離れていない。実家との行き来がしやすい場所への移住は舞にとってもありがたかった。

秀吉が北条家の血縁だと発覚したことは、織田軍にとって大きな益のあることだった。信長の妹である市と現当主の氏直が夫婦であると言っても、所詮、信長と氏直は義理兄弟の関係。今の友好関係がずっと続いて行くとの保証はなかった。だが、氏直の従兄弟である秀吉は違う。北条の血縁者が織田軍の重臣であることで、血縁を重んじる北条が織田軍との関係を反故にする可能性は限りなくゼロになった。織田と北条、さらには徳川に伊達。この四家を敵に回そうといううつけ者は早々いない。上杉、武田との関係も良好な今、信長の『天下布武』は目前に迫っていた。

ーーーーー

「ふぅ」
「大丈夫か?無理はするなよ。ほら、ここに寄り掛かれ。」
大きなお腹を抱え、座るのも一苦労の舞の世話を焼きながら秀吉が心配そうに声を掛ける。
「ふふっ。大丈夫だよ。お父さんは心配症だねー。」
相変わらずの秀吉にお腹の子に話しかけながら舞が笑うと
「当たり前だ。お前と子は俺の何よりもより大事な存在なんだからな。」
秀吉は開き直って、舞を柔らかく抱きしめる。
「…もうすぐだな。早く会いたいな。」
「うん。」

長濱城への引っ越しを無事に終え、新生活が落ち着いて来た頃、舞が身籠っていることが発覚した。
知らせを聞いた秀吉は
「ーーーっ、………」
言葉を紡ぐことができなかった。自分に子ができることをあんなに恐れていたのに、それが現実となった今、湧き上がって来るのは言葉では言い表しようもないほどの喜びと幸せだった。
「…ありがとう」
やっと発した一言は、自分をどこまでも幸せに導いてくれる存在への感謝の言葉。
「うん。秀吉さんこそありがとう。」
そう答えた舞は美しい笑みを浮かべていた。
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