第2章 片足の戦士
「よし、来い!」
「遙人さん、行きますよ!」
「あ、ああ」
十四松が遙人を投げ飛ばし、見事にカラ松がキャッチした。
「○○ちゃんはトド松とチョロ松兄さんの3人でゴンドラで行ってね」
「はあ?!だったら俺も!」
「ダメだよ!」
○○、トド松、チョロ松の3人をゴンドラで送った十四松は、おそ松を担ぎ上げるとビルへ投げ飛ばし、自分がそれに乗った。当然カラ松が受けきれる訳がないのでおそ松はそのままビルにぶち当たる。
「ぐぁ!」
「よし、全員揃ったな?」
「「おう!」」
「でもなぜこのビルを選んだんですか?」
チョロ松の質問に答える遙人。
「さっき健太と輝夫が向かったビルは、建ってからかなり経つ。古いビルは危険だと判断したんだ。こっちは建ってからほんの数週間しか経ってない」
「じゃあこっちの方がしっかりしてるってことだね!」
「そういうことだ」
「……なぁ、お前ら…。俺のこと忘れてない…?」
「おそ松兄さん。そういうのもういいから、早く立って」
「えっ」
遙人がビルの下を見下ろすと、そこにはまだゾンビは集まって来ていないようだった。
「よし、降りるぞ。エレベーターを使いたいところだがモーター音で集まられても困る。大変だろうが階段で降りるぞ。○○は俺が背負って行く」
「ううん。私は一人で降りるわ。兄さんたちは先に行って」
「馬鹿言うな!たった一人の妹だぞ。置いていけるわけないだろ!」
「大丈夫。行けるから」
そう言って○○はマシンガンの足を手すりにかけ、滑るように降り始めた。
「おお!ナイスアイデア!」
「やるね…!」
途中で見つけた消火器を手にして降り続ける○○。だがこのビルにもゾンビが数体入り込んでいた。その数体が○○に襲いかかる。
「「○○ちゃん!」」
武器を構えるがゾンビはもう○○の目の前だ。もう駄目だと思った時。
ガガガガガ!○○の足のマシンガンが火を吹いた。あっという間に倒れるゾンビたち。
「かっこいいね!」
はやし立てる十四松。チョロ松が○○に謝った。
「○○ちゃん。俺たち○○ちゃんにひどいこと言って、ごめん」
「ううん。こういう状況だもん、仕方ないわ」