第5章 元いた世界へ
「あなたもそんなことを言うのね。カラ松は男らしくてたくましくて、優しいわ」
「うっわ、キモッ!とにかく、6つ子にちやほやされるのは私一人でいいのよ!」
「私はちやほやされるつもりはないわ。私が好きなのは、カラ松だけよ」
するとおそ松が立ち上がりながらトト子に言った。
「あのさ、トト子ちゃん。カラ松と○○ちゃんのことはそっとしといてやってくれないかな。もし○○ちゃんを悪く言うなら、たとえトト子ちゃんでも許さないから」
6つ子の真剣な表情にトト子は、この二人に入り込む余地など微塵も残されていないことを知った。
「な、何よ!悪くなんて言ってないでしょ?!分かったわ、カラ松君は○○ちゃんにあげる。ふふん、私にはまだ5人いるもんねーだ」
トト子は○○の手を両手で包むと、優しく微笑んだ。
「カラ松君のこと、よろしくね!」
「はい!」
「もー。私たち友達でしょ?敬語なんか使わないでよ!」
「あ、は………うん!トト子ちゃん、よろしくね!」
そして5人の方を向いた。
「で、どうなの?!」
「「え?」」
「………このタコの衣装をどう思うか聞いてんだよ、ボケニートどもがぁ!」
いつものボディーブローが炸裂する。
「ボゥエ!」
「ボゥエ!」
「ボゥエ!」
「ボゥエ!」
「ボゥエ!」
「「ボゥエバー!」」
それを見た○○は目を輝かせて拍手した。
「すごーい!すごいわ、トト子ちゃん!この世界にも戦士はいるのね…」
そしてすっきりと晴れ渡る空を見上げる。
「兄さん…。私はこの平和な世界で、大切な人と共に生きていきます。どうかご無事で…」
空にはまるでそれに応えるかのように、一筋の飛行機雲が流れていった。
完