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魂の色【銀魂短編夢】

第17章 企画【〇〇しないと出られない部屋】


近藤ver.


「ハグしないと出られない部屋、って書いてありますね」

壁に掛けられたモニターを見上げた遼が読み上げると、隣に立つ近藤が低く唸る。

「うーん。どうしたもんかなぁ」
「ハグすればいいんじゃないですか?」
「いやー、流石にそれはマズいだろう。君は年頃のお嬢さんなんだし」

腕を組み、悩んでいる近藤に、遼はあっさりと「私は別に構いませんよ」と答える。

「遼ちゃん、もっと自分を大切にしないと駄目だって。確かに俺はお妙さん一筋だし、君にとって俺は上司でお兄さんみたいなものなんだろうけど」
「そうですね。じゃあ益々問題ないんじゃないですかね?」
「そうかな。いや、うーん……そうかもしれないけど」
「もうっ、悩んでたらいつまでも出られませんよ!」

呆れた遼がえいやっ、と勢いよく抱き付く。
抱き付かれた近藤は一瞬ふらつくが、踏ん張って遼の体を抱きしめた。
殆ど同時に、ガチャリと音を立てて扉が開く。

「おっ、本当に出られるみたいだ!遼ちゃん、もう離れてもいいよ」
「えーっ、せっかくだからもうちょっとだけ」

回した腕に力を込めた遼に、近藤は大きな溜息をつくと、よしよしと縋りつく遼の頭を優しく撫でた。

「遼ちゃん、他の男にはそんな事しちゃ駄目だよ。みんながみんな、俺みたいにいい男じゃないからね」

抱き付いたまま近藤を見上げた遼は、「こんな事、近藤さんにしか出来ません」と、にこりと笑う。

「ちゃんと警戒するんだよ。男は狼だからね」
「はぁい」
「……心配だ」

危機感の無い遼の返事に、近藤はほんの少し世の中の娘を持つ父親の気持ちがわかって軽い頭痛に見舞われた。

「本当に、ほんっっっ当に、気を付けるんだよ!わかってる!?」
「わかってますって。ほら、せっかく開いたから出ましょうよ」
「遼ちゃん、絶対わかってないよね……」

遼に手を引かれながら、近藤は盛大に溜息をついた。
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