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短編集【果物籠】

第3章 そろえましょ【夾】


そして夜。

朝に送った『学校行ってきまーす』のメッセージは既読スルー。

私はベッドの上でスマホと睨めっこしていた。

もう一度送るべきか、送らないべきか…。

30分程考え抜いた末、『電話出来る?』の一言をほぼ無意識で送っていた。

ああー送らなければよかった!!
いや、彼女なんだし別に良くない?

という真逆の感情に苦しめられる事2時間。


「………」


所謂未読スルー。
はい、日付を跨ぎました。
夾はいつもこの時間寝てます。
はい。未読です。
スルーです。


どーせまた明日の朝に『悪ィ寝てた』とか送ってくるんでしょ。
賭けてもいいわ。
なに?絶賛浮気中ですか?
知らん女とイチャコラうふふかこの野郎。
もうー知らない!

悲しさを怒りに変えた私はスマホを投げ捨ててベッドに入ってそのまま眠ることにした。
明日の朝メッセージ来ててももう無視してやる。
既読スルーしてやる!!と心に誓って。











「私の決心はなんと脆いものでしょうか…」


次の日の屋上で、地面に額がつきそうなほどに項垂れる私を、やっぱり春と紅葉は放置状態でランチを楽しんでいる。


「まぁ、ひまりならそんな決心すぐ崩れるよねー。朝、スマホ見てニヤけてる顔が目に浮かぶぅー」

「そうなんだよぉ…『悪ィ寝てた。何かあったか?』って…何かあったかとかそんな優しい言葉かけられたら秒で返信しちゃうわ!声聞きたかっただけて秒で返したわ!そんなもーん!!」

「何か…都合のいい女っぽいよね…ひまりって」

「みなまで言うな春!!私が1番思ってるからそれ!!」


僅かに顔を上げたあと、また地面と友達になる私に2人がハァと小さくため息を吐いていた。

呆れながらでも私の話に付き合ってくれる2人には凄く助けられている。

けど明日からはもう学校が休みでこうして2人に話を聞いてもらえる機会も殆どなくなる。

1人でこの苦しみに耐えるとか絶対無理。


「ねぇ…明日からも学校来ない?」

「「絶対イヤ」」

「薄情者ぉおーーっ」


あと2週間で卒業式

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