第1章 神と名乗る者
声のする方を見ると、これまた何処から出てきたのか、可愛らしい少女が現れた。
『か、可愛い...』
その姿はニーナに、昔雑誌で見かけた、目がワインレッドに染ったアルビノ種の兎を連想させた。
【初めまして、ニーナさん。いえ、今後は我が主となられるお方ですので、主とお呼びしたほうが良いですね。】
『主!?そんな、堅苦しいから普通にニーナって呼んでもらえると嬉しいな。』
【分かりました、ニーナ。】
『うん、そっちの方が親しみやすい。貴方の名前は?』
【私はアレシアと申します。】
『アレシア...良い名前ね。』
【ありがとうございます。天照大御神様が名付けて下さったんです。】
『そうなんだ。アレシアか... アレスって呼んでも良い?』
【ニーナの呼びやすい方で構いません。】
『じゃあ、アレス...さっき”主”って言ってたけど、それはどういう意味?』
すると、先程まで黙って成り行きを見守っていた人物が口を開いた。
「それは、私が説明しよう。先程お前の能力はまだ開花していないという話をしたな。」
ニーナは、まだ少し不安が残った表情で小さく頷く。
「それはお前の体内に流れているエネルギーが、正しく行き渡っていないからだ。だが、アレシアをお前の体に取り込むことで、エネルギーの流れを調節し、能力を開花させることが可能になる。」
『取り込むって...それじゃアレスが居なくなっちゃうじゃない?』
そう言うと、横からふふふっと笑う声が聞こえた。
【大丈夫ですよ、私の意思はニーナの中にちゃんと存在し続けます。それに、ニーナが望めば何時でも出てこれますから。】
『そっか。じゃあ、早速お願いしてもいい?』
【勿論です。】
そう言うと、アレシアは青い炎となり、ニーナの身体に入っていった。
【では、今からエネルギーの整合を行います。楽になさって大丈夫ですよ。】
『分かった、お願いね。』