第2章 ゴア王国
まずい...
このまま彼らが暴れれば、間違いなく周りの人々にも被害が及ぶ。
誰も傷つけることなくこの場を収める手段は無いのか。
幾許か模索していると、ふいに一つの案が頭の中に閃ひらく__
”時を止めること”
これならば、周りの被害も無く済ませることが可能なのではないか。
だか、それは一か八かの賭けだった。
正直、今のニーナにこの能力は手に余る。
今までしてきたことはどれも、規模が小さく、比較的に想像しやすいものばかりだった。
しかし、”時を止める”となれば、その分規模も負担も今までと遥かに格が違う。
ゲームで例えるならそれは、
Lv1の見習い冒険者が、Lv1のダンジョンからいきなりLv100のダンジョンに挑戦するようなものである。
失敗を考えていてもどうにもならない...
とにかく今は集中だ、集中...集中...
目を閉じ、脳に言い聞かせるように唱える。
息を大きく吸い込み
音、気配、全てを遮断して感覚を最大限に研ぎ澄ますーー
止まれ...止まれ...