第2章 ゴア王国
暫くして、端町を抜けると中心街が見えてきた。
目的の宿を見つけ、2人分の料金を払い終えると急いで部屋へ入り、エースをベットに運んだ。
すぐさま治療してあげたいところだが、如何せん、まだ1度も治療を試したことがない。
下手すれば、逆に傷つけてしまうかもしれない。
そこでニーナは、近くにある木くずを手に取ると、それを前腕に近づけ、白く滑らかな肌に軽く突き刺した。
血が見え始めた所で、その部分に手を当てる。
元の肌に戻すことだけを考え、全意識をそこに集中させる。
するとたちまち、淡緑色の暖かな光が前腕を覆う。
光の消失を確認すると、
先程つけた傷が跡形もなく消えていた。
試しが成功したところで、今度はエースの額に手を当てる。
先程よりもスムーズに行えるようになったため、早く治療を済ますことが出来た。
治療が終わり、ほっと一息つくと、エースの顔を見る。
治療前と比べ、はっきりと顔が認識できるようになっていた。
こうして見るエースは、ニーナが知る10歳のエースより少し幼い。
当然か...ルフィが5歳なら、エースは今8歳だもんね...
そう心の中で呟きながら、
ニーナは健やかないびきを立て、表情に一点の曇りも見えなくなるまでエースの手を優しく握り、寄り添った。