第2章 ゴア王国
『エース...?』
顔は痣だらけで認識しずらいが、頬のそばかすが彼であることを物語っている。
とにかく、急いで手当をしなければない。
能力を使うにしても人に見られてはまずいため、ひとまず宿をとらなければ...
そう考えてはみたが、今のニーナには持ち合わせがない。
どうしようかと考えていると、先程の悲鳴の張本人であろう女性が声をかけてきた。
「あんた、大丈夫なのかい。その子...」
ニーナは、女性を見るや否や、何か閃いたように女性に問いかけた。
『すみません、いきなりで申し訳ないのですが、1万ベリー持ってませんか?』
「え?持ってるけど...あげないわよ。」
『いえ、見せてもらうだけでいいんです。駄目ですか?』
見せるだけなら...と、女性は懐から1万ベリーを取りだし、ニーナの前に差し出した。
それを受け取り、アレシアを呼び起こす。
【はい、なんでしょうか。】
『この紙幣を記憶して、同様に創りあげることって可能?』
【可能です。目の前に持ってきてくだされば、こちらで解析します。】
その指示に従い、目の前に紙幣を運ぶ。
突然1人で喋りだした彼女を、女性は不思議そうに見やる。
【解析完了。】
合図と共に、鮮明に記憶された紙幣を5枚創りあげる。
ありがとうごさいました...と女性に言い、先程の1万ベリーと、もう1万ベリーを差し出す。
呆気に取られながらも受け取る女性を横目に、急ぎエースを背に乗せる。
そうだ...と、再び女性に向き直る。
『ここから1番近い宿を教えてくれませんか?』
女性は少し考えたあと、
それなら...と指を向こうへと指した。