第1章 育った場所
「!明日ここを発つんだね。と一緒に鍛錬できてよかったよ。俺1人じゃこんなに頑張れなかったよ。ありがとう」
炭次郎くんはなんて優しいんだろうか。
わたしなんてきっとこれっぽっちも役に立ってないのに。
『ありがとう。優しいね。』
「? 大丈夫?悲しい匂いがする。自分を責めちゃダメだ!鱗滝さんも言ったじゃないか、呼吸には様々な種類があるって。だからに合う呼吸も必ずある!」
『炭次郎くん...ありがとう。なんだか炭次郎くんが言ってくれると本当にあるって気がしてくるよ!』
炭次郎くんの言葉は不思議だ。根拠がないことを言われても信じられるし。自信が湧いてくる。
本当に暖かい温度の人。
「必ず、鬼殺隊としてまた会おう!約束だ!」
『うん!約束する』
そう言って、小指を炭次郎くんに出してみた。
ねぇさんじゃない誰かといつもこうして指切りしていた気がする。
わたしの記憶なのかな。炭次郎くんと指切りしたいと思った。この暖かい温度に触れたい。安心したい。
「ん?指切りか!なんだか、久しぶりで照れるなー。」
そう言いながら、炭次郎くんは小指を絡めてくれた。
「『指切りげんまん嘘ついたら針千本のーます!指切った!』」
2人の声が重なった。
照れながら少し赤くなる炭次郎くんがかわいく思えた。
安心した。炭次郎くんと指切りしたらもう絶対大丈夫な気がしてきた。
そしてなんだか懐かしい。
次の日の朝早くわたしは鱗滝さんの家を後にした。