第5章 束の間の休息
店主「いらっしゃい。さん」
その人は初老の男性で大人の色気を持ち合わせた
俗に言うおじ様と言われる方だ
とてもダンディーな風貌からは想像出来ないような優しい声色をしていた
『えぇ、お邪魔します』
私は懐かしさからオーナーに微笑んだ
歳を重ねるごとに魅力が増しているオーナーはとても憧れの存在だ
私もあのように歳をとりたいものだと何度考えたことか
店主「今日は大荷物だね?」
オーナーは私の手元を見てそういった
『はい、今日は珍しく非番なので、気分転換に裏山でピクニックをしようと思いまして』
店主「そうか、それは良いね」
「ということは今日は持ち帰りかい?」
『はい、さすがですね。仰る通りです。ここの茶葉を買い足す用とこれから使う為に買うつもりです。』
店主「分かった。ではいつものでいいのかな?」
『はい、お願いします』
店主「では、持ち帰りの準備が出来るまで好きな所に座るといい」
そう言ってオーナーは準備に取り掛かるため店内の奥へはいっていった
私は特等席となった奥の窓際の席に座って待つことにした
店内を見回すとお客は今のところ私だけのようだ
このお店はここで食事処を開いているが現在は市場での茶葉の需要が高まっているため経営には困っていないらしい
静かな店内はアンティークな家具で揃えられており、壁にかけられている時計の針の音と落ち着いたジャズが流れている。
普段から気を張ってなければいけない仕事のためこういった心を安らかにできる場所はとても貴重だ。