第5章 束の間の休息
『おや、もう4分経ったようだね。』
は砂時計を確認するとポットの蓋を開け少しかき混ぜた。
再び蓋をしてカップに茶こしをあて、注いでいくと綺麗な深いオレンジ色をした紅茶が広がった。
2人分をよそい終わり、ポットを置き、片方のカップをリヴァイに差し出した。
『お待たせ、どうぞ飲んでくれ』
リヴァイはからカップを受け取ると独特な持ち方でまず紅茶の匂いを嗅いだ。
その香りはとても深く飲んでもいないのに癒される。
一口口に入れた途端、口内に芳醇な香りと茶葉の甘みが広がった。
リヴァイは目を見開いて驚き、口から離した。そして、
リ「…美味い」
の前で初めて美味いと言った。
本人はそんな事は露知らず紅茶に夢中だ。
そんなリヴァイを見て、は驚いたと同時にこんなにも美味しそうに飲んでくれたことを嬉しく感じた。
もリヴァイを横目に紅茶を飲んだ。
『フフ、相変わらずここで飲む紅茶は格別に美味いわね』
彼女の纏う雰囲気が一瞬優しくなったように錯覚した。
それほど彼女は美しく微笑んだ。
リヴァイは飲み始めてから早々に飲み上げてしまい、に今度は俺が入れてもいいか聞くために目線を向けた。
しかし、リヴァイが口を開くことは無かった。
視線の先には紅茶を優雅に飲みながら綺麗に微笑み、風に揺られている綺麗な黒髪が流れていた。
『フフ、相変わらずここで飲む紅茶は格別に美味いわね』
と普段と違う口調も相まって、まるで別人なのでは無いかと思ったほどその様はとても魅力的でリヴァイは暫く見蕩れていた。
リ(こっちが本来のなんだろうか)
普段は師団長という役柄、部下に示しを付け女だからと舐められないように男口調にしているため、こういった彼女の素の姿を見れたことがとても優越感に浸れた。
リ(今ここには俺としかいない)
リ(を独り占めしてるじゃねぇか)
リ「…なんてぇ、贅沢だ」
リヴァイはこの幸せな時間を噛み締めるように小さく呟いた