第5章 束の間の休息
今日私は非番のためワイシャツとパンツスーツという比較的ラフな格好をしている
しかし念の為愛銃をホルスターに入れる
いつもはゆっくりと自室で紅茶を飲み、読書をしたり、自室の掃除をしている。
今日も目覚めの1杯を飲もうと思い茶葉の蓋を開けると見事に空っぽだった。
そのことに驚いたが、ふと先日私の執務室で会議をした際に皆に紅茶を出したことを思い出した。
あの後は書類を捌くことに忙しく茶葉のことなど頭から抜けていたのだから無理もない。
仕方なく行きつけの喫茶店へ行こうと思い椅子から腰をあげ出掛けの準備に取り掛かった。
数分で終わり、部屋を施錠してから廊下を歩いた。
その際すれ違う兵士達は勤務中にも関わらず兵士どうしで仲良く話している
『…はぁ』
私がため息をついたことでやっと私に気づいた兵士たちはパッと振り返り一丁前に敬礼し私に挨拶をしてくる
「ッ!!おはようございます!!師団長!!!」
その目は突然現れた上官に先程の行いが見られていないか焦ってとても泳いでいる
『…あぁ、おはよう』
私は注意する気にもなれず適当に受け流した
そのまま私が通り過ぎたのを確認するとまた喋りだした。
その様にまた私はため息をついてしまう
『…はぁ、全く』
(ほんとうにここは腐ったところだ、仕事もろくにせずに昼間っから酒に飲んだくれ、仕事は新兵に任せっきり)
ここの人達が変わる日がくるとしたら生まれ変わっても無理だろう
こういった思考になった時はあそこに行くことに決めている
そこは行きつけの喫茶店のさらに奥地にある森だ
そこは人はあまり立ち寄らず、動物達が仲良くすごしており壁外と同じような自然が溢れており太陽光が木に差し込んでいて木陰でゆったりとした時間を過ごせる
1人になりたい時や日頃の疲れを解す時に行くことが多い
その木陰に腰を下ろし飲む紅茶は執務室で飲むものよりも格別に美味い
さて、行き先が決まったら後は早い
1度自室へ戻りレジャーシートやお弁当そしてティーセットをカバンに入れ目的地へ向かった