第2章 旅立ちの章
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「…とりあえず、私の生みの両親は、何らかの理由で親友の家に預けることになった…それは分かるんだけど、なんで子供を預けることになったのか。…九尾の事件で亡くなったとかそういうこと?」
「カエデ、お前…九尾事件まで知ってるのか…でも2人は死んでないと思う。あの2人は、ある日、突然木ノ葉から消えたんだ」
「木ノ葉から消えた…?どういうこと?」
「詳しくは誰も知らん。が、玄関先に赤ん坊のカエデが、メモと共に置かれてたんだ。」
コレがそのメモだ、と一枚の紙切れを私に手渡すお父さん。
そこには、こう書かれていた。
『ヤマグリ、サキ、この子を頼んだ。
この子の名前はカエデだ。可愛い俺達の娘だ。
でも俺達は、あることを調べないといけなくて、木ノ葉には、いれなくなったんだ。任務だから詳しいことは言えないけど、何年かかるか分からねえものだ。
カエデが下忍にでもなったら、もしくは、早くに一人立ちする時が来たら、俺達のことを伝えてくれ。そして、時間があれば砂隠れに連れて行ってやってくれ。羅砂が会いたがってたからな。
俺の大事な娘だ。よろしく頼む』
メモを読み終えた時、私は何とも言えない気分になった。
自分は生みの両親に愛されていたんだという喜びと、両親と離れ離れにならければならない現実の悲しさと、今目の前にいる育ての親に対する感情とが入り混じって、ぐちゃぐちゃになって自分の中に入ってくる感覚。
それは、あまりいいものじゃ無くて。
「お父さん、お母さん。私、砂隠れの里に行ってみるよ。」
まっすぐそう宣言すると、お父さんたちは少し驚いた顔をして、2人で顔を見合ってから、嬉しそうに頷いてくれた。
「それが良いと思うわ。…でも忘れないで。私達だって、貴方を本当の娘のように思ってること。」
「ああ、カエデはこれからもずっと、俺達の大切な娘だ。」
なんだか、その言葉が嬉しくて。私はとっても安心して。
「…お父さん、お母さん……ありがとう…だいすき…」
目から溢れ出てくる涙を、我慢することができなかった……。
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