第2章 旅立ちの章
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「秋野カエデ、だったか?」
「はい」
「カエデという赤髪の少女が尋ねてくると、レイが言っていた」
イタチの部屋に入り、向かい合わせで座ってから、イタチは話を始めた。
「レイが、ですか?」
「ああ。レイは、カエデは自分と同じ人種だと言っていた」
同じ人種。確かにそうかもしれない。
「私は今日、うちはイタチさんにお願いがあって来ました。」
うちはのクーデターは止められない。今の私じゃ、ダンゾウには勝てない。
それを、イタチに言うわけにもいかない。
…だから…
「私、数年後に医療忍術を学びに里を離れるんです。その時、もしイタチさんが里外にいたら、私を助けてください。」
「助ける?」
「はい、私、医療忍術を学ぶために口寄せ獣と契約しないといけないらしくて。でもその口寄せ獣がどこにいるのかなんてさっぱりで。なので、貴方のその写輪眼で助けてもらえませんんか?」
昨日ひたすら考えた口実。
原作を捻じ曲げたら、今の私では話がどう転ぶかなんて分からんし、暁に入ったときにでもイタチと会えれば、と思っただけだけど。
会ってどうするとかは一切決めてない。
でも、少しでも、この人の破滅フラグを折ることができれば、とは思うから。
「…どう、ですかね?」
私は緊張した面持ちでイタチを見上げた。
そんな私を見たイタチは、フッと笑って私の頭に手をおいた
「いつでも協力しよう」
「え!本当ですか!?」
「ああ、レイにも、カエデが来たら助けてやってくれと言われていたからな」
レイがそんなことを…アイツなんだかんだ優しいからな。
イタチは優しく私の頭を撫でてくれた。
「いつでもここに来い。歓迎しよう」
優しく微笑むイタチは、お兄さんで。私は”イタチさん”と呼ぼうと決めたのだった。
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