第1章 始まりの章
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それから一週間がたって、レイの誕生日が近づいてきた頃。
アカデミーでは、今日も実戦形式の組手が行われていた。
いつかの実践と同じ、忍具なしの忍術ありな組手だ。
今日は二回違う相手とやらなければいけないそうで。
一回目、私はヒナタとやることにした。
「よろしくね!ヒナタ!」
「うん…よろしく!」
いつものように対立の印を組み、ヒナタは白眼を使う。
そんなヒナタを見て私は素早く土遁の印を組み、ヒナタの足元の土を崩した。
ヒナタは当然のごとくそれをジャンプして交わし、一気に私との距離を詰めてくる。
近距離が得意な相手には一定の距離を取って、私の影分身がバレないように近づく。
…つもりが、やっぱり白眼には全て見えているようで…交わされてしまう。
体術が苦手な私は正直近距離になんてもって行きたくない。白眼を持つ柔拳使いに近距離で勝てるわけない。
…これはアレだな。心理戦にもっていこう。
汚いとか気にしない!
心理戦にもっていくことを決めた私は一気にヒナタとの距離を詰める。
「!っカエデちゃん!?」
いつもはこんな無謀なことはしない私の行動に、ヒナタはたじろいで白眼をしまった。
まあ、まだ子供だからそこまで長くは使えないってのもあるけど。
私はそのままの勢いでヒナタに急接近し、自分の唇をヒナタの耳元に持っていく
「…ナルト、頑張ってるね」
「っへ!?」
少々この手は卑怯かも、と思ったけれど…うん、ごめんねヒナタ。
さっきからずっとチラチラとナルトを見ているヒナタは、私が耳元でボソリと言った言葉に過剰な反応を示した。
うん。計算通り、と言うか、予想通り。
一人ワタワタと慌て、赤面するヒナタの足を再び土遁で拘束。
イルカ先生の止めの合図で和解の印を結び、皆のもとに戻る。
「ごめんね、ヒナタ。驚いたでしょ?」
「あ、いや…授業に集中してなかったのが悪いから…私こそ、ごめんなさい…」
ヒナタは何も悪くないのに誤ってくれる。
うーん、良心が痛む。
でも、そーゆー所がヒナタのいいところ…なんだよなぁ…
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