第1章 始まりの章
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「…俺、近いうちに里を出ることになった」
修行の休憩中、レイは暗い顔でそういった。
「…え、と、それは…前に言ってた、火影様も了承してるっていうあのやつ?」
うちは一族の事件までは、まだあと一年はある。
いくらなんでもこの時期に里を出るというのは早すぎないか?
そんな思考をコイツは静かに否定した
「…実は、俺の一族の伝統儀礼があって。
それが7歳になったら5年以上一人で修行の旅をする…っていうものなんだ。
師匠はつかない、けどある技を会得しなければ帰ってこれない…会得難易度はSランク。だから5年以上かかるんだ」
「早くても5年はかかるってことね…アカデミーはどうなるの?帰ってきたらまた通う…なんて遅いでしょ??」
「技を会得すれば卒業試験をパスした事になるらしい。
技を会得することが俺の卒業試験ってわけだ」
「なるほど…原作に間に合う為には12歳までに戻るのが絶対条件…
だからこんなに急になったってこと??」
「…いや、それが、俺が直談判したとき…
火影様は『伝統儀礼のことを知った俺が早くそれに取り掛かりたくて直談判しに来た』と感じたらしく、それなら早いほうがいいだろうって事でいつもより数ヶ月早まったんだそうだ」
…確かに、急に子供が数年里を出て修行の旅をしたいって言ったらまずは知識を入れろと言われるところを承諾したんだ。
レイの家の伝統儀礼じゃなければ許可なんて降りないだろう。
そう納得し、ふと、ある違和感を持った。
私達のようなイレギュラーを、受け入れるような、尚且つ原作を壊さないようにされているような。
……原作に沿うよう、何らかの力が働いている…みたいな……
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