第1章 始まりの章
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「おはようカエデちゃん、よく眠れた?」
フライパン片手に、笑顔で朝の挨拶をしてくれるヨシノさん
もう少しで朝ごはんできるから座ってて、なんて言葉をかけてくれる
「髪ボサボサだな、ここ座れ」
「サンキュー、コレでも髪とかしたんだけどねぇ」
「女のくせに不器用だからな、オマエ」
「不器用に男も女もカンケーないでしょ!」
全く、もう…なんて言いながらシカマルに髪をセットしてもらっている自分は、確かに「女なのに男に女子力負けている図」以外の何物でもない
それが分かっているから余計に器用なシカマルがムカつくのだ
それ言ったら溜め息吐かれるから言わないけど
「最近シカマルが髪結うのにハマってたのはカエデちゃんの髪を結ってたからなのね」
お皿をテーブルに置きながら笑っていうヨシノさん
…笑って、と言うかニヤニヤして、のほうが正しいかも
「カエデの髪、癖っ毛だから出来たときの達成感があるだけだ」
「へー?この前母ちゃんの雑誌見てたのは、カエデちゃんのためってことかい」
ニヤニヤとシカマルを煽っていくヨシノさん
つか、雑誌見て勉強してくれたのね、さすが優男
「…親父が、集中力を高めるもの探せって言うから読んでみてただけだ」
「へぇ?私はてっきりカエデちゃんに喜んでほしくてやってるのかと思ってたよ」
「…ンなわけねーだろ」
シカマルと会ってから、私のシカマルの印象は天然たらしから優男に変わる
シカマル、優しいからモテるのかと思ってたけど、どうしてもこの無気力な顔がシカマルモテ期のジャマをするんだよな~…なんてことを、話も聞かずに考える
「本当にお世話になりました!」
「いいのよ!またいつでも来な!」
「…はぁ、早く行くぞ、カエデ」
朝食を食べ終わり、そろそろ帰ります、とヨシノさんに伝えた所…「そうかい、シカマル!送っていってやんな!」なんておっしゃるから驚いた。
シカマルはお母さんに逆らえないのか、案外素直に送ってくれると言うし…何よりヨシノさんの強引さは昨日の時点でしっかり理解したつもりだ。
だから私は諦めてお願いすることにした
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