第1章 始まりの章
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リビングのドアを開けると、部屋には美味しそうな匂いが充満していた。
「あらカエデちゃん!よく温まったかい?晩ごはんできたから、食べな!」
相変わらずの眩しい笑顔でそう言われると、断るに断れない。
「でも…家でお母さんが待っていると思うので…」
遠慮がちにそう言う私に、シカマルのお母さんは「それならもう遅いし、明日は休日だからうちに泊めるってサキに伝えてあるよ」と笑いながら言った。
「……え???」
うそん。何その私得な流れ。
私前世でなんかそんなに良い事した??
なんの覚えもなすぎて逆に怖いわ…
ちらりと横を見ると、まあそうだろうな…なんて顔をしているシカマル。
「部屋はどこにするんだよ?」
「シカマルの部屋でいいでしょ?」
「あー、まあいいか。」
頭が混乱している間にトントン拍子で話は進んでいき、なんならお母さんの許可があるのを知り、これは詰みだわ。なんて現実逃避する。
「さ!とりあえず冷めないうちにご飯食べな!」
そんな風に言われたらもう何も言えないので。
美味しくいただく事になりました。
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