第1章 始まりの章
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着ている服を絞りながら家を目指して歩く。
まだこの時期は夜が寒い。
コレは完全に風邪引くわ…なんて苦笑していたら、
「おい、そんなびしょ濡れでどうしたんだよ?」
なんていうよく聞く声が後ろからして、振り向く。
「…シカマル…」
そこには思っていた通りの人が居て。
ポケットに手を突っ込んで呆れた顔をして立っていた。
「修行してたら池ポチャしたの。」
はあ?と眉を寄せるその姿は、どこか、さっきまでの不安というか、もやもやした気持ちを振り払ってくれた、そんな気がして少し笑みをこぼす。
…あれかな、ホームシックにでもなってたのかな。
シバとお父さん見て、血のつながりってやつを羨ましいとでも思ったのかもしれない。
まあ、いつも通りなシカマル見て、変な不安なんて消し飛んでしまったけど。
「とりあえず、そんなカッコじゃ風邪引くだろ。お前ん家まだ歩くし、俺ん家寄ってけ」
すぐそこだから、と言ってスタスタ歩き出すシカマルに、少し驚く。
まあ、あれかな、『めんどくせーけど、びしょ濡れの女をほっとくわけにはいかない』ってやつかな。
そんなこと思いながら、シカマルの優しさに感謝してついていった。
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【主人公 メモ】
・主人公は、“ホームシック”になっていたらしい
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