第1章 始まりの章
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前世では、良い子はもう帰る時間だと知らせる鐘の音がなる頃だろうか。
こんな時間に森に向かう子供なんて居ない、平和な世界だった。
侍も忍も居ない世界。それでもしっかり回ってて。
いつか、いつの日か、この世界にもそんな時代が来るのだろうか。
それは何年後の話だろう。隠れ里は無くなるのかな。
…おかしいな。こんなこと考えるなんて。
…おかしいな。急に前世の家族が恋しくなるなんて。
……おかしいな。こんなに恋しいのに、もう顔が思い出せない、なんて…。
滝近くの水面に立ち、沈んでいく夕日を見つめる。
兄弟は居たっけ?好きな人は?彼氏は…居なかった気がする。
仲の良かった友だちの名前は、なんだっけ?私はなんて呼ばれてた?
レイのこと、なんて呼んでた?
そこまで考えて、怖くなった。
前世の記憶が薄れているのかもしれないと。怖くなった。
「ナルトが主人公で、最初はアカデミー卒業。ミズキ先生は敵。次が下忍になるため、スリーマンセルでの…ってヤバ!」
怖くて原作を思い出しながら声に出していたら、原作を思い出すのに集中してしまったらしく見事に池の中に落ちた。
滝の近くは水面が荒れているからまだ集中しないと立つのは難しかったのに、修行に集中できてなかった。
全身ずぶ濡れ。最悪だ。
よいしょ、と池から上がり、このままだと風邪ひくから今日は帰ろう、そう考えて街の方へと足を向けた。
…急に前世を思い出したくなるなんて、変…かな…?
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【主人公 メモ】
・これはまだ序章らしい
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