第1章 始まりの章
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「カエデは頭いいなあ、…ん?秋野一族は馬鹿なのに、カエデは頭いいのな!」
さすがカエデだな!なんて可愛い笑顔で言ってくるもんだから何も言えない。
そもそも、そこまで分かってて血のつながりを疑わない所、流石秋野一族。
「はっはっは。カエデは何年かに一人の異才型なんだろう。お前らのおじいちゃんもそうだった。」
シバに似て大きな口で笑うお父さんに一つ言いたい。
私が本当の子供だったらさ、何年か、のスパン短くね?
「…そんなんでよく生き残れたね、この一族は…」
ため息混じりに出た本音に、お父さんが敏感に反応した。
「秋野一族が滅びることはないよ。」
今まで生きてきて、お父さんのこんな真剣な顔を見たことはなかった。
言葉も気にはなるけど、それ以上に、お父さんの顔から目が離せなかった。
お父さんは真剣な顔のまま、話を続けた。
「この目はな、天眼(てんげん)と言われるものだ。」
「てん、げん?なんだ、それ?」
聞きなれない単語に首を傾げ、私に助けを求めるシバ。
でも、天眼なんて聞いたこともない。そんな瞳術が存在するのか。
シバに聞かれても何も言わない私を見て、お父さんはここぞとばかりにドヤ顔で説明を始めた。
「天眼。それは、まあ、平たく言うと…千里眼、のようなものだ。」
「千里眼って、すべてを見透すことができる眼ってこと?」
「ああ。…秋野一族の血継限界はな、五眼と言うものなんだ。」
「まーた分からない単語!もう覚えきれねーよ!」
「まあ聞け。五眼(ごげん)…それは、物事を見る五種類の作用のことだ。」
そこまで聞いて本当に頭が破裂しそうになっているシバ。
しかし、お父さんは説明を止めない。
「肉眼(にくげん)、天眼、慧眼(えげん)、法眼(ほうげん)、仏眼(ぶつげん)。この5つが五眼と言われていて、全てを開眼しうるかもしれないのが秋野一族なんだ。」
「…肉眼は聞いたことあるけど…それ以外は聞いたことない…」
「僕は肉眼も分かんねーぞ?」
「はは、そうだと思ってな、今日はみっちり教えてやるぞ!」
それを聞いてあからさまに嫌な顔をするシバ。
お父さんは、そんなことを無視して話をすすめた。
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