第1章 始まりの章
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影山レイは、私の手を引いて小さな広場のようになっているところに連れてきた。
丸太に座ると、私にも座れと言うから素直に隣に腰を下ろす。
「君は、前世の記憶って信じるかい?」
遠くを見つめてポツリ、とレイくんは呟いた。
「…みき、だよね…?」
レイくんはゆっくりとこちらを向き、あや…と呟いた。
目に涙をためて、今にも泣きそうな顔をしている。
私も私で目頭が熱い。視界がゆっくりとぼやけてくる。
声も鼻声で、聞き取りにくい。
二人してポロポロ涙を流して、存在を確認するように抱きしめあって、
気づいたときには日が傾きかけていた。
「…もう帰らなきゃ…だね。」
「ねえあや?これから一緒に修行しない?」
「!する!!…あ、明日は水面を歩こうと思ってて。池は見つけたんだけど…」
「じゃあ、ここで待ち合わせしよう。」
二人して真っ赤な目を見てクスクスと笑いがこぼれる。
みきは死んじゃってたけど、また会えた。
また一緒にられる。
今はそれだけが嬉しくて。
その日はいつもよりも軽い足取りで家に帰った。
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「ただいまー」
「おかえりなさい…って!目が腫れてるじゃない!何があったの?」
「え、カエデ!?大丈夫かよ!!誰に何された?」
「あ、いや違くて、嬉しいことがあって泣いちゃって、大丈夫だから!!!」
「あっ!まて!ちゃんと話せーー!!」
「(目、冷やしてから帰ってくるんだった…
……明日きっとシバに質問攻めに合うんだろうなぁ…はは、)」
少し後悔するカエデだった
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