第10章 産屋敷財閥に任せなさい
活動写真を見終わった後、一行はせっかくだからと蝶屋敷に戻る前に茶を飲んで少し休憩をしていくことにした。
街道沿いにあんみつ屋があるのを見つけて、そこに腰を落ち着かせる。
「活動写真、とても面白かったですね」
店員の出してくれた茶を杏寿郎と炭治郎の方に差し出しながら、咲がニコニコとして言う。
「うむ!実に良いものだったな!お館様に感謝せねば!」
「俺、活動写真って初めて観ました!咲、誘ってくれてありがとう」
しばらくの間咲達は、先ほど観た活動写真の内容について口々に感想を言い合い、和やかに時を過ごした。
ちなみにだが、先ほどの活動写真では、真ん中に咲が座り、その両側に杏寿郎と炭治郎がまるでガッチリと護衛するかのごとく座っていた。
咲はその整った顔立ちと、庇護欲をそそられる小柄な体格のせいで、顔を晒して街を歩くと、必ず一度か二度、輩からちょっかいをかけられる。
だが今日は、服の上からでもその鍛え上げられた肉体が分かるような、金獅子みたいな長身の男と、そちらよりかは小柄なものの、こちらもまた鍛え抜かれた体格をしているまっすぐな目をした少年に挟まれていたので、ちょっかいをかけようにも、とてもそんな隙がなかった。
二人は、示し合わせた訳でもないのに、完璧な連携を取って護衛していたのだった。