第8章 【番外】ある日ある時
「なあリヴァイ。私は本当にマリーを明日壁外に連れ出していいのだろうか……。彼女を調査兵団に招いた時から私は間違えていたのか…。」
いつになく弱気なことを言うな……と思うと、どうやら俯くエルヴィンの顔が赤く火照っており、ハンジの酒に完敗した事を悟った。
酔っ払いが2人に増えてしまったらしい。
「アイツが自分で決めて調査兵団を選んだんならそれでいいんじゃねえのか。」
「兵団にとっては首席の彼女の力は無くてはならないものだ。私はこの先リヴァイの元で育てていけば確実に戦力は上がると考えているよ。」
「ならいいじゃねえか。」
何を今更……と軽く流すと、エルヴィンが顔を上げた。
「団長としては間違えていないが、叔父としては私は最低だよ。」
エルヴィンは酒で羞恥心をなくしたらしく、普段見せないような戸惑いを表情に隠さず出して話を続けた。
「マリーは私と血縁が無ければ兵士になることもなく、危険な壁外に行くことも無かったのではないかと考えてしまうんだよ。
マリーのあの美しさと器量の良さがあれば、戦いとは縁遠い優しい夫に出会えていたかもしれない。そのまま子を産んで家庭を築き、妻や母として幸せになれていたかもしれない。そんな未来を私が奪ってしまったのではないかとつい考えてしまうんだ。こんな私を笑うかい?リヴァイ。」
「いや……」
エルヴィンの叔父としての本心を知り、いつも冷静沈着な姿しか知らない憲兵共が見れば腰を抜かすだろうな……なんて考えるが、マリーの幸せを願う自身の気持ちを代弁されているかのようで何も言えなかった。