第1章 嘆きの声
アレンとラビが振り返ると、そこには若い女性が立っていた。
腰まで伸びる長い金髪と、綺麗な緑の眼。
顔立ちは整っており、リナリーとはまた違った魅力を持っている。
歳はラビとそう変わらないだろう。
「初めまして、メリッサ・ワグナーといいます。メリッサと呼んでください」
ペコリと頭を下げるメリッサにつられ、アレンたちも頭を下げた。
「あ、ええと…はじめまして。僕はアレン・ウォーカーです」
「俺はラビさ。よろしくな、メリッサ!」
「よろしくお願いします。まずは家に案内しますから、ついてきてください」
歩き出すメリッサに慌てて2人はついていく。
村はのどかで、畑を耕す夫婦や走り回る子供たち、村の人々の目は優しさに満ちていた。
アレンの目も反応しない。アクマもいないようだ。
安全を確認し、2人はコソコソ会話を始めた。
「綺麗な人ですね…。師匠が居着くわけだ」
「サポーターだっつーから、てっきりオバサンかと思ったさ。あともう少しで色っぽいお姉さんになりそうさね!」
グッと拳を握るラビに呆れつつ、アレンは目の前を歩く藍色のドレスと金色の髪を見つめた。
「確かに綺麗な人なんですけど…なんだか…笑わない人…ですね」
「そりゃあ…笑わねぇ人なんてたくさんいるさ。ユウみたいに」
「なんていうか、うまく言えないんですけど…うーん…なんだろう。神田とは違う…」
唸るアレンに、「俺はクールビューティーも嫌いじゃないさ」とラビが笑って言う。
「…あの」
突然、メリッサが立ち止った。
話が聞こえていたのか、とアレンとラビが慌てて弁解しようとする。
「ち、違うんさ!俺はただ…」
「違うんです!僕は…」
「あれが私の家です」
へ?と呆ける2人に、メリッサが少し遠い建物を指さす。
「村の人たちはワグナー邸と呼びます。ご期待に添えていないかもしれませんが…」
おそらく豪邸と呼ばれるであろうその家に、2人の口はあんぐりと開いた。