第2章 黒の教団へ
リナリーに案内してもらった自室に戻り一人になったメリッサは、冷たいタイルの床に置かれている自分の荷物の整理を始めた。
9畳程度のこの部屋にあったものは、空っぽの本棚とクローゼットとシンプルなシングルベットだけだった。
服や本をしまいながら、メリッサはヘブラスカの預言を思い出していた。
*
『…私は…ヘブラスカ…今から…お前のシンクロ値を…調べる…動かないで…』
初めはヘブラスカの姿に驚いていたが、声の柔らかさやリナリーの表情から、悪い人ではないことが読み取れた。
ヘブラスカは優しくメリッサの体を持ち上げ、彼女の額と自分の額を合わせる。
『…30…65…71!…お前の最大シンクロ値は71%…のようだ…』
「71%か…ふむ、思っていたより普通だね」
いつの間にやらリナリーの隣には背の高いひょろっとした眼鏡の男が立っていた。
「久しぶりだね、メリッサ君」
ヘブラスカに降ろしてもらったメリッサは、コムイに向かってぺこりと頭を下げた。
「室長さん、お久しぶりです。これからよろしくお願いします」
「兄さんとメリッサは知り合い…なの?」
「あれ、リナリーは知らなかったのかい?メリッサ君は元サポーターなんだよ。状況報告で連絡を取り合う事が多くてね。たまに会ったりしていたんだ。それに…」
コムイがメリッサの頭を指差し、笑った。
「彼女のココは父親譲りで、とても頼りがいがあるからね。入団したからには使わせてもらうつもりだよ、メリッサ君♪」
「室長さんは相変わらず人使いが荒い…。前もサポーターの私に数式送りつけてきたり、おすすめのコーヒー豆を聞いてきたり…」
「君の家でも出来るような仕事を選んだつもりだったんだけど…」
それで最近コーヒー豆をブルーマウンテンに変えたのね…と呟くリナリーに、「てへっ☆」と笑う巻き毛室長は無視し、メリッサはヘブラスカに、
「ありがとうございました、ヘブラスカ」
と頭を下げた。
ヘブラスカは少しだけ口元を緩ませて(?)笑った後、ふっと口を開く。
『メリッサ・ワグナー…お前は…終焉を…見届ける…ピューティアー…になる…そして…その屍には…神の母性が宿る…だろう…』