第2章 黒の教団へ
「ほら、質問はあとにしてさっさと仕事に戻れ!」
リーバーの言葉に従い、渋々班員達は元の場所へ戻っていく。メリッサはぐるっと部屋を見渡すと、ゆっくり目を閉じた。
「…父さんは死んだんですね」
メリッサの言葉に、今度はその場が水を打ったように静まり返った。彼女の頬にはつう、と涙が伝っている。誰もがその綺麗で、痛々しい姿から目を逸らすことができなかった。ジョニーが例えたように、彼女の泣き顔はまるで聖母のようだった。
「リチャード・ワグナーは…」
「いいんです。分かっていたから…。父さんが出ていったあの日からずっと」
「…彼は事故で亡くなったんだ。それ以降も彼は科学者の間でも尊敬され続けてる」
「伝えられなくて…悪い」と震える声でいったリーバーに、メリッサは首を横に振った。
黒の教団員が死んでも、家族にその死は伝えられないことになっている。メリッサもその例外ではなく、教団へやって来て初めて、愛する父の死を知ったのだった。