第1章 ー東堂尽八の場合ー
「すまん…今日は止められそうにない。余裕がない、とはこういうことなのだろうな」
「ちょ、待っ…ひゃ、あっ!ン!」
そう言うと私の制止を聞かず、尽八は耳の裏を舐めあげた。ゾクゾクッと体を震わせると忽ち口からは甘い喘ぎが漏れて。
「待てない、と言ったばかりだろう?」
「んやッ…だ、めっ…!」
「さっきからダメばかりじゃねぇか。しかし、知ってるぞ?玲香のダメ、はもっとシてということくらいな」
「違っ…!あァっ、ンン!」
緩く首を振って否定してみたものの、尽八の舌からは逃れられなくて。耳朶を食んでみたり、舌先が奥へと忍び込んでくればまた一段と体はビクビクと震えて。
耳にばかり意識がいっていて気が付かなかったが、いつの間にか尽八の長い指は鎖骨を滑り服のボタンを外していて。
悔しいほどその手付きは慣れていてあっという間に胸元が露わになり、思わず隠そうとした手は尽八によってベッドに縫い付けられて。
「こら、隠したらダメだろ?玲香の綺麗な体を隅々まで愛したいのだからな」
「だっ、て恥ずかし…ッ」
「今更じゃないか。もう既にオレは玲香の隅々まで熟知しているのだぞ?」
どこが性感帯なのかも、な?と口元を緩ませる尽八にゾクゾクする。
胸元に這わされた指は、その膨らみの形をなぞるように滑らされ悪戯に尖端を捏ねられると電気のような刺激が体を駆け巡る。
「ひぁっ!あ、アンッ!尽八っ…!」
「可愛いな。本当に愛らしい…」
尽八の指の動きに合わせて敏感に体をビクッとさせる私の反応が楽しいのか、胸への執拗な愛撫は続いて。指が2本に増え転がしたり潰したり捏ねたりするから甘い声も大きくなる。
「はッ、ん…も…っ…むり…」
「何を言っているのだ玲香。お楽しみはこれから、だろう?」
耳元で低く囁く尽八の声にまたビクンッと敏感に反応すれば、尽八は満足そうに笑っていて。
まるで私に見せ付けるようにゆっくりと、額からキスの雨を降らせる。それが段々と下りてきて、首筋にきたところでチクッとした痛みが走る。
「ん。これで誰が見ても玲香はオレのモノだというのがわかるな」
「ちょっ、そんな目立つとこ…ッ」
少し体を起こした尽八は、首筋の目立つところに付けたキスマークを満足そうに微笑んでからひと撫でした。