第3章 ー巻島裕介の場合ー
「ンな見るなッショ…穴開いちまうぜ?」
「え、あ…だって裕介の腰エロいなって」
「ンぁ?エロいってお前な…旦那に言う台詞じゃねェッショ」
「だんっ…!」
「クハッ!何だよ今更…オレは玲香の旦那だろ?」
ポンッとワインのコルクを引き抜きながら真っ赤になって恥ずかしがる私を笑う裕介を恨めしそうに見つめる。
「それよりも…ワイン、美味そうショ」
「わあ…!私ロゼワイン好きなんだよね…!流石東堂くん…やっぱあの人出来る男…ん?裕介?」
しっかりと私の好きなロゼワインをチョイスしてくれている東堂くんに感心する。裕介と結婚するって報告した時に話したこと覚えててくれたんだ…だからモテるんだよね東堂くんて。
なんて考えていると、サイドテーブルにワイングラスを置いた裕介が隣に座りながら無言で抱き締めてきたので首を傾げる。
珍しく肩口に顔を埋めてきたのでそっと裕介の長い髪を梳くように撫でると、更に抱き締めてくれている腕に力が込められて。
「ンな東堂のこと褒めんなッショ。お前の口から他の男のことが出るのが許せねェ…」
「……え?それって…裕介嫉妬してる…?ねえ、裕介ってば!」
「あああもう!うるせェ!お前が東堂のこと持ち上げるからショォ!」
「ッん!」
しつこく私が裕介に聞くと、後頭部に手が回されて強く引き寄せられれば唇が重なり裕介によって言葉が吸い込まれた。
そっと目を閉じて受け入れると裕介の長い指が私の髪に絡められて鼓動が早くなる。
キスだけで再び裕介の蜘蛛の糸に絡め取られたような感覚になってクラクラしてくる…
でも、あまり感情を露わにしない裕介が東堂くんに対して嫉妬してくれてるって…嬉しすぎてニマニマしちゃう。
「ニヤニヤしてんなッショ」
「えへへ、だって裕介がヤキモチ焼いてくれてるんだもん嬉しいの!」
「俺だってヤキモチくらい妬くショ…お前は誰のモンだよ。オレのだろ?」
ストレートにそう言われてしまうと一気に恥ずかしくなってきて思わず口ごもる。
その間にも段々裕介に詰め寄られて後ろに仰け反ってみたものの、肩をトンと押されればそのままベッドに倒れ込んで。
裕介が覆い被さってくると、長い髪も落ちてきてベッドに縫い付けられている感覚に陥る。
「ほら、ちゃんと言えッショ。お前は誰のモンだよ?」