第3章 ー巻島裕介の場合ー
袋から出てきたのは、ダークグリーンの艶やかなロングドレス。
平凡な私には無縁だと思っていた素敵なドレスに思わず見入ってるとそっと裕介の手が肩に回ってきて優しく抱き寄せられる。
「どうだ?」
「凄い、凄い素敵!こんな素敵なドレス、頂いていいの?」
「当たり前だろォ?これからたくさん着る機会あるショ」
裕介に言われてハッとする。裕介は今や有名なデザイナーであり、日本支社の責任者。そんな人と結婚したのだから、パーティーみたいなところへ行くってことなのよね…私も。
「私、似合うのかな…?」
「着てみろよ。そのドレス姿の玲香見てみたいッショ」
裕介の言葉に頷けばドレスを抱えて隣の部屋に行って着替える。流石オーダーメイドといったところか、私の体にピッタリで。
「裕介?その…着たから見てくれる?」
「ん?あぁ…スゲー似合ってんな…ほら、来いよ」
裕介の前に行ってクルリと回ってみると、口元がニヤけた裕介はそれを隠すように手で覆って。
差し出された手を掴むとグッと引き寄せられて裕介の腕の中に。
「あぁもう、想像以上ッショ…ヤベーな」
「これ、裕介がデザインしてくれたの?」
「あぁ、オレがデザインして最終的に作ってくれたのは兄貴だけどな。結婚祝いショ」
「嬉しい…裕介がデザインしたドレス着れるなんて…お兄さんにもお礼言わなきゃ」
裕介を見れば抱き締められている為至近距離で。コツンと額同士をくっつけると自然と唇が重なる。裕介の長くて大きな手が後頭部に回ると、唇を離すことを許さないとでもいうようにグッと押し付けるように添えられて。
裕介の首に腕を回してそのキスを受け入れると、唇の隙間から舌先が滑り込まれしなやかな舌が私の舌を絡め取る。
「んんっ!ふ…あ…」
「やっぱ色っぽいショ、玲香の声は」
裕介からの口付けに応えるだけで精一杯になる。長くてしなやかな舌は私の口内全てを染めていく。舌だけでなく、歯列もなぞられゾクゾクとした快感が走る。
あっという間に力が入らなくなってしまえば、そのまま裕介にベッドへと誘われ、裕介の長い髪さえも私をベッドに縛り付ける。
ゆっくりと唇が離れるとお互いを繋ぐ糸に恥ずかしくなって顔をそらそうとしたが、裕介の手が顎に添えられて動かすことが出来ない。
「ちゃんと見るっショ玲香…オレだけを」