第2章 ー新開隼人の場合ー
隼人の匂いに包まれればホッと安心する気持ちとドキドキ煩い気持ちとがせめぎ合って。
「もう少し、オレがどれだけ玲香のこと愛してるのか囁いてみたいけど…もう我慢の限界だな」
「ハァ…も、隼人…っ」
「あぁ、わかってる。オレの全てで愛してやらなきゃな」
隼人が限界なのと同じように私も限界で。もうすぐそこにまで絶頂の波が来ていたのにそれが引いてしまったもどかしさに、苦しくなって隼人を見ればそっと瞼に口付けをひとつ。
大学まで自転車で培ってきたであろう逞しい腕で強く抱き締められたまま隼人は腰を突き上げる。
「ひゃ、あぁッ!ん…は、あっ…ンン!」
「やっぱ、耳元で喘がれるとクるね」
「んぁあっ、あ、あっ、ふ…んんぅ!や、はや…ッ…はやとぉ!」
「ん、良いぜ?オレも…っ、一緒な?」
両手は相変わらず自由にはならない為、隼人に揺さぶられるままに体を強張らせあっという間に追い詰められて登り詰める。
隼人を見つめてみれば、汗が滴っていて。普段見ることのないその表情に目が離せなくなる。
しかし、更に追い込んでくる隼人からの強い刺激に目を開けていることが出来なくなって、手足に自然と力が入る。
「あぁ、ンん!隼人ッ…は、あっ、イっ…あぁンんんっ!」
「あ、っく…!」
ビクンビクンと大きく体を痙攣させるようにして、最奥を貫かれたタイミングで絶頂を迎える。私を抱き締める力がまた強くなった隼人の力がフッと抜けて。そのまま覆い被さってくれば耳元で荒い呼吸が繰り返されて。
「はぁ、はぁ…隼人?大丈夫…?」
「あぁ、大丈夫…悪いな、また玲香に無理させちまった」
「ふふっ、隼人それ毎回言ってる」
「え、そうか?あ…やっぱりちょっと赤くなっちまったな…」
「大丈夫よそのくらい」
やっと手首を縛っていたネクタイを外してくれた隼人は、そっと私の手首に唇を落として。
擽ったさと隼人の唇の感触に身を捩り、その刺激から逃れると私の2倍はあるんじゃないかってくらいの体に抱きつく。
…はぁ、やっと抱き締めることが出来た。
「で。隼人クンの誤解は解けました?」
そもそも事の発端は君の勘違いなんだけど、と隼人を見つめれば罰の悪そうな顔をしていて。
「悪かったよ。あまりにも親しそうだったから」
眉を下げながら謝る隼人に小さく笑ってしまった。