第2章 ー新開隼人の場合ー
「ひゃんっ!はぁッ…ん…」
隼人の動きが緩くなり少し余裕が生まれて。チラッと顔を見てみれば、私が振り返るのを待っていたかのように口の端を吊り上げて笑い。
また見せ付けるようにゆっくりと背中にキスの雨を降らせていく。
弱く柔らかな刺激だが張り詰めている体はそれにさえ反応して小さく震える。
隼人の引き締まった指が私の髪を掻き分けた。
項を掠っただけなのに、甘い痺れに思わず息を呑んで。それに気付いた隼人は悪戯をするように項を擽る。
「んやっ…はや、とッ…んんっ!」
「なぁ、知ってる?項にキスするってさ、お前のことを離さないって意味なんだって。強い独占欲や執着の表れ…」
オレにピッタリだろ?なんて笑う隼人は項に顔を埋めると何度も柔らかな唇を落とし、紅い花を散らす。
消毒してからオレ色に染めると言っていた隼人の言葉通り、全身に咲き誇る紅い花にドキドキしてしまう。
「あンッ!はぁ、あ…あぁ!や、アッ…」
「っく…そんな締め付けたら…な?まだ味わっていたいんだけどな…オレは」
「だっ、て…隼人、がっ!んぁっ、あふ、ン」
キスマークを付けることに満足した隼人は再び腰を突き動かし始め、それによって抉られるように擦られると目の前がチカチカするような強い快感に襲われて。
意識はしてないのだけれど、体は隼人を求めるあまり自然と追い詰めているようで。
すぐ耳元で荒い呼吸が聞こえてくる。
その息遣いに私の体も疼いてきて、隼人の突き上げる腰の動きに合わせて淫らに腰を揺らしてしまい。小さな笑い声と共にその律動が激しくなれば口から零れる喘ぎも甲高くなって。
「ッあぁ…今日の玲香は、凄くエロくて…ハハッ、たまんないな。愛してる…誰よりも幸せにしてみせるよ」
「はぁ、はぁっ…隼人…!私も、愛して…っんぁあ!」
何でこんな日に限って隼人の顔が見れないんだろう。ちゃんと顔を見て言いたいのに…
そのことを口にしようとした時、ぐるんと視界が反転する。目の前には天井と…隼人。
「やっぱり、こういうのはちゃんと見ながら言わなきゃダメだよな?」
「隼人…同じこと、思ってた」
優しいいつもの表情の隼人に笑顔になり、同じことを思ってくれていたことが嬉しくて微笑むとギュッと強く抱き締められた。