第2章 ー新開隼人の場合ー
「笑うことないだろ?玲香がオレ以外の男の名前を読んでるのが嫌だったんだって」
「ふふ、ごめんね。隼人がそんなに思い詰める前にちゃんと話せば良かったね」
ゆっくりと隣に寝転んだ隼人は優しく髪を撫でてくれて。この時間が私にとって最高に幸せ。
そんな私とは対象的に真剣な表情の隼人は口を開いて。
「それで?連絡とかはしてる?」
「連絡って…真護と?」
「そう金城くんと…あー、待った。してるって言われたら結構ショックだな」
隼人には珍しくウジウジしているような様子にまた笑ってしまう。付き合っていた時だって会社の飲み会とかは必ず一緒に…
あれ?改めて考えてみたら私の友達と飲む時以外はずっと隼人が隣に居たかも。他の女の子たちから話し掛けられてもそこそこに、同僚と飲んでた私のとこ来てた…
それってつまり、隼人が嫉妬してたってこと?
こら、笑うなよと額を小突かれればその手をギュッと握って、私よりも大きな手に指を絡める。
「私、真護の連絡先さえも知らないの。高校までずっと一緒だった幼馴染ってだけ。卒業してからは一切何もないの。今日、久しぶりに会えたからちょっと話し込んじゃっただけ」
不安にさせてごめんね、と隼人を見ればいつもの飄々とした表情に戻っていて。絡まっている手を口元に持っていった隼人は、左手の薬指に輝く指輪にそっとキスを落として。
「今日がきっかけで連絡先交換したとかも、ないよな?」
「ないわ。私が好きなのは隼人だけよ?」
「ありがとな、玲香。早々にプロポーズして良かったよ」
名実ともに玲香を独り占め出来るもんな、とまた強く抱き締められて鼓動が早くなる。
彼自身で言ってるように、嫉妬も束縛も強いけど今の私にはそれが心地良い。
「汗とかで気持ち悪いよな、シャワーでも浴びる?」
「うん、浴びたい…けど誰かさんのせいで動けないんだけどね?」
「ハハッ、ちょっとヤり過ぎちまったな。お詫びといっちゃなんだが、俺に任せて?」
ゆっくりと起き上がった隼人は下着だけを身に着けて、動けない私をタオルで包んでくれてからひょいっといとも簡単にお姫様抱っこして。
「あー、玲香。また昂ぶりそう」
胸、当たってんだと言う隼人を軽く叩いて恥ずかしくて膨れると、隼人と一緒に笑い合う。
愛される幸せを噛み締めて…
ー完結ー