第3章 響く音はひろがりとどく
「君の話ってゆうのは………」
今度は私が言い淀む番になってしまった。
緊張で口の中が乾いて、上手く話せるかと不安が胸を過る。
大丈夫。
自分でちゃんと向き合うって決めたから。
「勝手だとは思いますが、この間のことを謝りたくて…。」
「………謝る?」
怪訝そうな声と瞳の色。
声が少し震えた。
だじろいでしまう心を奮い立てて、私は話した。
「石田さんに言われた事は確かに驚きましたし、動揺しました。
でもそれ以上に、あんなにつらそうな顔をさせてしまった事が、私には堪えてしまって………。」
「すごく…心が痛かったです」
ぎゅっと死覇装を胸の辺りで掴んだ。
今でも、思い出せばつらい。
あんなに悲しそうな、つらそうな顔を私はみた事がない。
だから、頭からずっと離れずにいる。
私の所為ならば、尚更。
「こんな事、石田さんは望んでないと思います。でも………すいませんでした。」
「あと………虚から助けてくれた事は、お礼がしたくて。あの時は言えなかったから。
ありがとうございます。」
すっと頭を下げた。
我ながら…変な話だと思う。
顔をあげて、真っ直ぐ石田さんを見つめる。
そらしては、いけないと思った。
正直、いま彼が私の言葉を聞いてどう思ったかは、わからない。