第3章 響く音はひろがりとどく
浦原さんを筆頭に、とりあえず商店まで戻る事にした私達。
自分では普通に歩いているつもりでも、皆さんとの距離がだんだんと開いている事に焦っていた。
まずいなっと思っていると、ぐきっと足がもつれて転びかける。
「っ!」
声にならない焦りが、体を転ばない様に動かす足を止めていた。
絶対痛いだろうと、ギュッと目を閉じて覚悟する
トンっと誰かの腕に支えられていて、顔を上げれば………石田さんだった。
どうして。
確か、茶渡さんと一緒に石田さんは前を歩いていたはずなのに。
「さっきから井上さんが呼んでいたけど、聴こえていなかったみたいだね。まだ大丈夫ではないんだろう?」
「えっ………」
呼ばれていたのに気づかなかったことにも驚いたけど、石田さんに声をかけられたことにも更に驚いた。
みなさんも、こちらを見ていた。
慌てて石田さんから距離をとって、大丈夫ですと言おうとしたのだけど。
ぱたり………と。
私は後ろに倒れた。
力もはいらず、身体も熱い。
どうやら、中途半端に傷を治していなかったのが祟ったかな。
「えっ、ちょ………しっかりするんだ‼︎」
「石津さん⁉︎」
「うわっ!あいつ倒れやがった!!」
「浦原さん、頼む‼︎」
「おやおや。今行きますよー」