第3章 響く音はひろがりとどく
風が吹いて、金色の雨をふらせる。
ハラハラと落ちる銀杏の葉は、本当に綺麗だ。
私がしたかったこと。
千春ちゃんと、お別れをすること。
霊をソウルソサエティに送るためにする、魂葬というものがある。
それを、今からするのだ。
皆さんと千春ちゃんはお別れの挨拶をして、私のところへ来た。
ご両親からの花束と私のあげたチューリップの花束を、大事そうに抱えている。
「大事だから、ちゃんと持っていくね。
本当に…ありがとう。」
「私の方こそ、ありがとう千春ちゃん」
「お姉ちゃんに会えて、良かった!」
にこやかに笑った千春ちゃんに、斬魄刀の柄尻部分をそっとおでこに当てる。
死生
印がおでこに記されて、千春ちゃんの身体がだんだん消えていく。
涙をすっと流す彼女に、私は言った。
「また、すぐに向こうで会えるから。さよならじゃなくて、またね!だね」
「うん、またね!お姉ちゃん」
元気な言葉と笑顔を残して、千春ちゃんはソウルソサエティへと旅立った。
カランと下駄の音が隣から響く。
横を見れば、浦原さんが立っていて。
「こんな景色の中で行けたんだ。あの子にとって、いい鎮魂になったでしょう。」
表情は帽子で隠れてわからなかったけど、声はとても穏やかだった。
銀杏の葉の雨はまだまだ止む事はなくて、眩しいくらい輝いていた。
銀杏の葉の意味は、鎮魂。
霊を慰め、癒す言葉。
浦原さんの言葉に私は、そうであれば何よりだと思った。
「黄昏時だ…。帰りますかね、皆さん」